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作品 - 20170320_562_9504p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


開かれた死骸

  鷹枕可

蜜と鉄の創造者を呪う知りもせぬ海嘯の城門より
数多の死と
花被殻で飾られた
翰墨の凱旋車が
海底建築に突進して行く

緑薔薇色の死者が
常繋ぎ留める肩章徽章の綺羅を
私達は
絶無抽象の青い乾板にも探し遂せない
誰が聞くのか
紡錘機の退屈な獄舎の普遍的寓話を
死の夢のただなかに在り
死の終着のなかには
今亡き今が絡め取られた

罌粟が鈍鉄の曇雲を裂開する時
綴られた繊維紙
或は蠅を綯う
紙篇を罫線を
確実な愉悦饗宴の
黒い後刻に電気機関車の死骸であるがごとく磔けよ
自働機構への逃亡を
彫版家としての
衰亡童話が隈無く支配する零落国家へ

無辜を最愛なる理想像であるか、
純血統種の捺花は
死は今きたる
きたるべき死者のこめかみの側へ

そして
弛緩をした自動麻酔が
各々の根幹たる
神経髄の樹を亙り已まぬ為には
何れ程の錆鍬が
壌の糧を孕み

胚種脱胎の嬰児を
包柩を間歇的に噴出せしめなければならないのか

貴賤を喚き止まぬ鳥籠の死骸が
真新しい精神病院の緑なす最終面会室に
腐蝕酸の蝶番を置く

それは瞬間の薔薇の符牒を穢しながら
地下階へのきだはしを揉まれ流れていった

エドワルド・バーンスタイン史の大理石の腿骨を齧る虱達よ、旧前衛工房は突破された
後衛美術の類――絵葉書、切絵、影絵、映画フィルムの雑踏と市街広告塔の燈火を仰げ
それらが蹂躙された匿名市民のためにパッケージの尊厳と自己愛を購ってくれるように

精々懇願するが好い

文学極道

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