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作品 - 20170308_101_9482p

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一枚の写真

  霜田明

「一枚の写真へ」

分厚いカーテンの隙間から
失われた温度の差し込む朝
(朝の空は人の両手のひら)
過去という夢を見た(雨ひとしきり)

  (朝は天使の落とし物)
  冷えた小さなその物質を
  僕はこれからこの腕の中に
  暖めていなければならない

    (港町に流れる風の霊性)
    人混みを透り抜けながら
    過ごしていくことへの虚しい固着
    から詩は起こる
  
      「私は異常である」ということは
      少しも存在していない
      「私は異常だ」と思うときのそれは
      ただ罪悪感そのものだった
  
      一枚の写真が無層の現実を写すとき
      被写体の切なさが過剰すぎず
      それでも少し過剰であるとき

      写真は強い欲求である
      撮りたいという欲求でなく
      そこにあるそのもの自体への欲求
      (どの人間の側からでなければ
       どの被写体の側からでもない
       世界の側からの精神的な反重力)
  
    世界のような人体と
    行為のような物体と

街は反時計回りに渦巻くぜんまい
夢のような心的現実を退けて
自動機械は全く同じだけの
言葉の量を積み上げていく

文学極道

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