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作品 - 20170227_514_9459p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


つめたく燃えるもの、そは椅子のうえの花壜なるとも

  鷹枕可

たとえ
血の荊と罰のなかで青い花々が涸れても 
露壇に錫の涙が燃え残るように
君達は
ひとつの家族にもなれたのかもしれない

寄せ集めた切絵も肖像紙も 
要らないのに
本当は全てなのに
嘘偽りの家族なんて決して幸福になんかなれはしないのに
夏は昼の様に隠れてしまって
私達の罰も、
喪葬の花殻も救済されてしまった
呪いの様に消費せられるまで

あなたは憶えるだろうか
麗しい偽兄妹達が
世界線から離れた、
砂の骨壺一つ残さずに

淋しい喪章を抱き竦めては
雨のなか肩を震わせる
火葬場のベルが鳴る時刻に
そして母が死に、
終戦記念日に君達も産まれ落ちた
運命紡績の子供達
それは
生れから死んでいたか
誰にも成れず
脆くも繋がれた肉声の向うに
寄り添いながら

冬霜花が結実し薔薇が散り終えた姿勢鏡のなかに世界卵は静かにも渦巻く、

名前を呼んではならない
怨嗟が死者を
十日目の麺麭の様に悪くしてしまうから
喪われた名前は
朧げな白い花より
昏く婚礼に逃れ逃れてゆく

花崗丘陵に手指が彫刻され
生々しい死後を、殉葬者達の救いもなき絶望を
地下階を指し示す

互いを憎しみ
追うこともせず
私達は
自らの手を繋ぐことなく
だれを追うていたのだろう

ドゥーブルの鏡像に触れても
硬く
複製の陶像が
蹂躙花とも融け合わない様に
心臓が刻限を薔薇の様に鬩ぐ時
夜は昼の様に昏くなり

あなたであり世界であるすべての現象に
今でもあなたは開かれている

文学極道

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