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作品 - 20170116_438_9405p

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【母国の子音】

  黒崎水華

羊羹に似た闇が口開く 暗浄に御座います
切り揃えた髪が揺れる この世は繋がって
赤と白の椿が列を成す 廻るので季節さえ
回廊をぐるりと辿って 参道に御座います
入口も出口もなくなる 羊水は満ちました
宙を漂う金魚の白昼夢 目は開きましたか
蝶の翅だけ地面を覆う 脳は夢見ています
利き手を失い虚を孕む 現を空蝉と重ねて
両目が機能しないのだ 焼き憑いてしまう
目隠し鬼が手招きして 亡國したのにさえ
次は君、名誉だよ」と 気づいてやしない
尊厳を抱いて落ちる崖 内部が腐ってゆく
生涯を丸投げまでして 羽音が群を成して
濡れた三本足の鳥一羽 蝕んでいった正体
暗雲の中で鳴いたのだ 大義に置き換えて
黒い雨が吸い込まれた 重く伸し掛るのだ
地面は憶えている味だ 幽かに浮かぶ文字
羊羹に似た闇を食べた 柑橘類の馨がした

文学極道

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