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作品 - 20161227_758_9365p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


天気雨の詩

  ねむのき

下着と、水平線のある浴室
飛行機の残骸のように
肺のなかに墜ちていく
息がすこし
燃えている気がする
ほんとうは、音のしない声で
話しつづけていると
遠くのほうへと連れていかれるから
そのまま
廃墟のような駅の
地下街で買い物をすませた
買い足した卵の
その永遠に眠りにつく格好で
浴室の白にうずもれていく
微熱のあるからだの、手術痕から
摘出された
骨や、落ち葉など
すべてが清潔だった頃のまま
そのままにしておきたい
吐く息は風となり
落ち葉のしたの弦をゆらすけれど
音のしない
卵が白いまま割れている
その空白にも
廃墟の群れが並んでいて
壊れた鏡は
森をあおく映している
すべてがどこか歪んでいた
この背骨のうえにも
青空
ひろげた形の翼が
砕けちって
だしぬけに太陽のひかりがさしてくる
なくな
遮るようにそう告げ
おまえは、もうおまえではない
誰かになってしまって
その声だけが遠く
燃えている

文学極道

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