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作品 - 20160608_262_8874p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


構図VII_α 構図VII_β

  鷹枕可

_α


縋り歎く実母を洗面鏡に閉じ嵌殺した侭
放埓の華を撃つ青年
華の実像は
概念の禽よりも
遠く愚かしい季節を福音として喚起した

  血の代価を啜る吸血蝶の頤には
  観念としての花蘂が両性具有の彫塑を瞠目していた
  そして人間は知るだろう
  記憶の水が死者達の晦渋を
  簡素な磔刑に科す
  溶暗の部屋に綻ぶ
  山査子の麗しき可憐呵責を

祈念者の蒼顔は魘夢の
   途轍を敷く凱旋車への喝采であり
      死の葡萄樹は普遍概念の双嬰児を虚誕とした
   併し何者が知悉し得るであろうか
醜貌の観測機械に過る
  皆既蝕に転動を及ぼすテスラの可視を

砂である謎への訴求は
 退く銅版画の虚実離散より以後
果物籠の起草を
 倦厭する拠地へ振り撒くだろう
自由は劃して死せる
 雲霞の聖霊を鉛丹に塗り潰す様に隔絶した

孤絶の境涯を
臨む
華々は麗らかでも優美でも勿い
鉄錆の死が灌漑に拠る肥沃に一頻の誤謬を諜報する頃には
誰でも勿い私属が
血脈の終端に斃れた百合の様に睡る



_β


人々が緘黙するとき花籠は気泡のような眼球を裂開し植物写真を抱く狂人を喚いた
無価値な死後を余暇というべき少女の様な絞首体が流れていった
砂塵粉塵散々の季節風が死を明るみながら瓦礫は二十世紀の置時計のなかで乱鐘を逸りつつ幾つも砲撃した
簡素抽象の今を復複製する事は勿い想像下の現実の様に
螺子の様に曳き潰された肉体像が軋みながら永続の銅球の中で叫ぶのを夕刻の鶏頭と火夫は愉悦しながら
それ以降夕刻毎に晩年を諸々の禽の様に開いた 

羅馬に転倒し希臘に観閲された霧鐘塔が合成繊維の藤袴を纏わりつつ
美しい重箱を螺鈿の様な継母の死体へ射精した 
狂った眼鏡の狭窄の狂った人工知能技術は復健全且つ瑕疵勿き鉄条網の棘に
未来派に於いての華々しい煽動家の様に謳った 
しかし誰が聴くのか庭球場の音叉を反復する自動溶鋼施設の遂死迄の過程を

彼等の影像は脳髄の炸薬火薬は病み微睡む様な人工の死体を垂下させ全盲の禽に花言葉を教示していた
青い試験紙が赤く捻転する回転扉には理髪師が轢死体を嘆きながら赦していた
痴愚に過ぎない扁桃体の視野には亡骸の花草飾が狂乱するウェヌスの両腕に摘み取られて行った
復素抽象としてのコンポジションVIIには半具象の矩形を崇拝する劇作家達の木椅子が聳え立ち頂きには塑像を戴冠していた
1945年以降と名付けられた廃棄物時計は鋼鉄の詩や鵜呑みの欺瞞を露呈告発していた
世界された国家或は国家された世界には総てが領有権を謳うとテレヴィジョンの罅割れたブラウン管が唸りを上げていた

塵の様な遺灰が降頻る標本化されたアウシュビッツの黒薔薇を指示しながら回顧展は極めて優美な緘口令を敷くだろう

文学極道

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