犬たちが今朝を踏み荒らして
僕は足跡の上の
潰れた学校へと
忙しく歩く
明日は早いから寝なさい、
僕のシーツで発火して
朝になっても残っている、宮崎さんの
差し向けた犬たちが遠吠えし、
足跡に沈んだ学校では
授業開始を告げる
宮崎さんは
靴の泥を原稿に包み込み
窓の向こうに投げ捨て
校庭の砂の上にたゆたわせ、
昨日触れた雨に
明日も触れるのですか、
ええ、明日の洪水確率は
百パーセントです、
克明に描かれた影たちの、
鼓動、ざわ、つき、
なので明日の学校はありません、と
宣告すると
雷が落ち、
身体はさめ、夢はさめ、
もう二度と戻っては来ない
またいくらでも眠りたいときが来たら、
寝ても構わない、
だから授業を受けて欲しい、と
宮崎さんが、僕の肩を
やさしく叩いているうちに、
校庭の砂の上に
僕の新しい原稿は
折り畳まれてだまし船になり、
道中、
握り締めたセイルは
舳先に変わり、
溺れ死にそうになったところで
目がさめ、濡れてさめ、
家のベッドに送還されると
雨の日の犬たちが横たわり
朝食のにおいが
窓に滲んでいる
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作品 - 20160523_976_8845p
- [優] 眠れる宮崎さん - kaz. (2016-05)
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眠れる宮崎さん
kaz.