「純粋って 残酷よね」
甲高い声が窓ガラスにぶつかって
午後の陽がコーヒーカップを照らしていた
細めた眼は懐かしい鋭角
私は窓辺の永遠に油断していた
純粋の何について彼は語っていたのだろうか
そこにあったのはどんな時間だったのだろう
ガラス戸に跳ね返った私の声が届いたとき
かなしみが不意の怒りに
私は驚きを反抗に変え
不器用な怒りを見つめた
この上ない平静さで
あのころ私は
手折った夏草をぶんぶん振り回しながら
ひるまずに突き進んでいった丘の道
尖った葉はきらきらと光の乱反射
不意に幾度もあなたに斬りつけた
愚かな者が勝利する若さの恥ずかしさよ
それさえ
小さい生き物のように手の中に匿おうとして
海いくつ隔てて
やさしさばかり打ち寄せてくる
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作品 - 20160318_315_8703p
- [優] 望郷 - 李 明子 (2016-03)
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望郷
李 明子