○
透明な百日紅として
透明な薪をくべ
あの雀の考えを入れつつも
背骨はすっと伸び
ペンの先で ふるえていた私
今どこまでも歩いて行ける
のぞむところへ
もうはからいでいるというとき
また別のところをのぞんでも
もう別なところのはからいで
私はもう別のそこにあるから
のぞみはどこまでも広がっていく
水紋は 水紋とぶつかろうとも
矛盾もまた一つの考えであって
矛盾の飛沫は
私の 指を動かすさ
私の 翅をふるえさせるさ
胸のプロペラ 全快にして
いつでも だから書けるじゃないか
○
自然法爾のなかに身を置き
それをこちらから 眺めているよ
約束だから
信用に足らなくて
それは互いの弱さゆえだが
何よりここに現代的玩具はないし
あなたを知ろうとすることは
大体もうあなたの繭の中だね
透明は百日紅
透明な薪をくべ
しかし百日紅は 薪であって 等しく雀であって
雀は 遊んでいるアイツだっていいさ
貧富でなく
賢さでなく
そんな証に目をとられて失くした
ペン先でふるえていた だから
今
この二月の
透明な気層の底の下の
どこにもいないとして
あらゆるところで遊んでいます
○
選出作品
作品 - 20160301_011_8663p
- [優] #13 - 田中恭平 (2016-03)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
#13
田中恭平