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作品 - 20160223_855_8646p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


S氏への敬愛告白に固執した理髪店員の球瓶計に附いて

  鷹枕可

踝のない婦人と擦れ違った絹製の傘のような容貌はまるで海綿のそれであった
レエスの尺度が薔薇の質問ではない時に、果たして誰が椋鳥の蝶形の両腿を貫き通すのか
時間は浮遊して留まっていた、器官の確実な蕨の無限に接吻するように
夜が夜を呼び昼は昼を呼ぶ、
観念は全てであり前衛の街角を照明したりはしないだろう、
臍の球体が績まれ績むものはみずからなおも
白薔薇色の振子に眠りつづけているあの鐘形を銅貨の確かめられることなき石炭のエネルゲイアに偏移するのか

弔辞を記帖しながら善を韜晦する壜は、蟻の航海録の一時ならず船底に覆る生卵の流布を固着させた
見よ、完全な死体などは無く、未完全な死体としてと言ったのは敬虔な唯物ではあったが、
不確実な私達の綺語はおしなべて孵卵器の美しい少年期の地球室の様でもあった
採光部屋の煤埃が飛花粉の口数を押し隠して行ったのか、それとも
或は別の隠喩としてたちどころには推理され得ない緋の立棺が君達の眼前にあるのか、
構造体としての永続の扉もやはり緋であると言うべきなのか、
閉じた楕円は始源の涙ぐましい長机に、
なおも傾倒しようとする葉花として一包装紙が滴る様に

およそ及ばぬ扁平の秘跡の名辞は、
且ての私達を来る私達の遭遇者へと委託せずには口吻を緩めることすら侭ならなかった
一睡も齎されなかった季節の椅子には鶏頭花が生長する街灯を渦巻く様に並べ置くだろうとしても
黒い遠近鏡は幼時のダヴィデを、まるで受難の過程に返る椿花とプラスティックの闡明に押流しては
静物と呼び、不出来な巻貝の殻にはアリアドネの目覚めのみが運命であった
気体瓶50cc程の、気候試験紙の乾燥は程なくして矩形の帆柱に落ちた窓板を刳り貫くだろう
それは水母の解剖である

     *

海綿の容貌
婦人の機関紙諜報係の死
盗聴機械を探す滑稽麗人二千里の邂逅 
褪緋の町角、
混淆-涅槃晦冥絡紡錘形は
緋鯛幾何学スゥイートピー懸架腑-翼廊
静物わたし思惑する淡海印璽紋章考現附録
修道寺院アタランテ偶像製造癒着希臘学
目深腿の遅抗隧道鉄路、
無垢無窮体球体テアトル
あなた寄附基金死亡通知、
教会伽藍共同仮構緋扉の受花

神品致命n私製隔絶の機械
翰墨薔薇印字は黒鉛瓦斯炎
霧笛晦瞑鏡天鵞絨劇場
白痴夢としての砂時計と有棘紙片戴冠綱目
置換薔薇徽章
自働琴花の死は今しも
幻想植物図案集
裂罅それは麺麭の肉体
壁龕餐室腐黴切窓、
あなた乾塩塩湖の羅針指巨躯幼時
汝、刻一刻と鉱脈を擱き、汝が私を覚ゆるべし
クロミュウム電解乖離被子、
あなたたち菱十字濁凝眼たる
綺羅綺麗楕球卵臍帯の訃報
畏敬尊厳存在被写静置、虜囚

被子殻鳩舎双嬰児の薔薇蜜縷々のソフィア
死海乾板写真十紙の感光時計
自在律あなたたち
死後濛々たる市街地に縁る長椅子の聴音機よ
蝸牛体-交錯形立方体飛翔する白の球瓶
つまり
吐瀉物の河
指標000自在尊厳の縮痴人工景観都市ヘクトプラズマ
デウスの慈善雨環鉱植物
鎧戸の町燭台樹樹脂プラスティックと嬰児
辺縁遺骸厩の生誕蝕既
関節茎
受肉有翼エピメティウス訃報代理人の致死
存続者鞦韆電球燈の自尊振子
幾多抑留の垂線 
自働ナルシス網膜腑炎
受難の建築 創造凱旋車の花綱修飾史
濃乳色、或は電気広告燈の為の十字間歇泉
土地橄欖
わたしたち無窮鏡像相違鑰 
昏婚化粧壜液、
第零世紀遺骸櫃の移殖医
少年期地球室明暗法よりたちあらはるるものすなはち錆釘なり

畏敬鋭角美術抽象
わたし空想静物交換魔術劇
グラスモザイコ飛鳩緘黙
ああ 釣鍾草と幽冥鏡の往還装置
人の姿、鐡の人体模型鍾乳形而下の私続
処刑室000に睡眠者を
麻酔液と解剖台の人力飛行機レタトリンの墜落
薔薇茎葉の結節
飽食饗悪の美璽と苦蓬畑、
平面幾何学、構図模像擬似録ベルナルディノルイーニ氏の振子

文学極道

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