。
あなたが
手のひらに海をつくる
わたしは
迷わず魚になる
夕方からは
豪雨になるから
花々は
その前に閉じてゆく
わ、わたしは
それを
ゆっくり
こじ開けてゆく
その時のわたしは
魚ではない
きっと
夜の街で
死にかけている
17才
。
部活帰りの少女たち
コンビニ前は
春の極景
夕方5時から6時までの
巨大な比喩に
誰も気がつかないまま
次々と
ペットボトルは潰されて
誰も主役ではないまま
信号機だけが
規則正しい
ギブスをしたひとりの少女が
ひっそりと
主役になる夕方の終わり
自転車の電気が
揺れながら
消えてゆく先に
それぞれの
物語があるから
そこで
みんな主役になる
ギブスの少女だけが
ここで
このコンビニ前で
朝をむかえる
今日は
ギ、ギブスの少女だけが
17才
。
死ね、
その言葉だけでつくられた
高層ビルがある
この街は
見上げた場所に
赤い光が
たくさんある
星は
自分でつくらなければならない
それを
集合住宅のように
夜空の
あらゆるところに
できるだけ集め
星座をつくれ
き、きみだけの星座をつくれ
大人になったら
もう
二度とはつくれないよ
まして
詩なんか
いつか書けなくなるかもよ
17才
。
街が斜めに見えるなら
君は
できるだけはやく
飛べるようになった方がいい
それ以外は
何もできなくていいし
何も知らなくていいし
世界とか
関係ないし
鳥は
青空に
青空そのものになりたくて
でもなれなくて
花になったと
仕方なく花になったと
風のうわさで聞きました
海が
どこにもない
陸も
ひとつもない地図を見て
何か書かなければならない
き、きれいな何かを
書かなければならない
そんな日が
いつかくるよ
17才
。
選出作品
作品 - 20160113_200_8567p
- [優] 未、未成年の詩 - 泥棒 (2016-01)
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未、未成年の詩
泥棒