種子は口をひらいた──星を枯れた舌の上に埋め
無防備な砂金の腹の上で──熱線は加速していく
鳥のくちばしの空洞内部から──揮発した鏡に向けて
汚れた足先を見つめていた──花束は白く噛み砕かれる
海水の降り積もった空のように新鮮な──根に繋がれた痙攣を
苦痛を光は味わうだろう──叫びは揺りかごの中へと注いでいる
息を固めた氷の上を──細い溶岩の糸は静かに大気圏に触れ
赤い赤の風が吹く──鼓膜を失った魚は気泡のように弾けていく
鮫の卵巣に閉じ込められた朝日の匂いを耳にする──時計に染みつく錆びた花粉を
炭化した白鳥の涙の茂るその奥で──塗られた視線の伸びた先の
不意に呼ばれたような気がしたので──葉の上に鐘の音の抜け殻が止まる
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選出作品
作品 - 20150930_175_8335p
- [佳] 揺れる影──2048=1のための照明 - ペスト (2015-09)
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揺れる影──2048=1のための照明
ペスト