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作品 - 20150827_328_8265p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


痘痕の雨の庭に佇んだときのこと

  GENKOU


   「雨の庭」

  墨の絵を描く嬰児が
  天照る水に
  その掌をかざす

  庭の雨に立ち
  空は、なぜか
  晴れ渡っていた

  肩に触れる小さな羽根の
  それは、鶉の羽だった
  頭脳の明晰な鶉の卵の小さな顔
  僕の肩にいつも乗っていたんだ

  同じ産着を着せ、
  四つ手の體が
  拭われた赤子

  墨の絵の庭咲く萩の花
  白く黒く手足の花びらばたつかせ
  雨粒は細かく弾き
  突風が時折
  雨を割り砕き
  
  庭の雨に立ち
  空は、しかし
  晴れていた

  、、、、、、、、、、、
雨の庭の庭の雨を長く心に刻んで、日暈(ゲンウン)の真昼の風、そは男の代名詞である。

   落葉は散る庭をカサカサ舞い込むすなわち女の代名詞である

   振り向くなく、仰向くなく、赤あく頬を染めた楓よ、貪婪の星星が降り注ぐ御影石、全ては女の代名詞である

   幾多の生きた人間を、りんりんと照らして踏みなりす化野の、自分のなしことをも自分でなくともしないまま、石仏八千体に、己が大地に疼き、表皮を脱ぎ捨て、身を寄せていた石たち。

文学極道

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