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作品 - 20150811_005_8251p

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蝶のサラダ

  ねむのき

流れ星の 駅のホームで
駅員のおじさんが 
蝶を食べている
 
ガス燈の灯に集まった蝶を
大きな虫取り網で
すくっては パクパクと
口にはこんでいる

「ねえ、おじさん
「どうして、蝶を食べているの?
って訊いてみたら、駅員さんは
「かわいそうだけど、仕方がないことです
って答えた

(そうか
生きるためなら、仕方がないことも、
あるよね

ぼくは納得して
帰りにスーパーで 半額のアゲハ蝶を買った

夜のニュースを見ながら
ぼくは
ひとりで 蝶のサラダを食べた


   *


目が覚めると
駅員さんが枕元に立っていた

「たった今、準備が整ったところです
そう言って鞄から
ぶよぶよした立方体を取り出すと

タツノオトシゴに変身して
駅員のおじさんは
泳いでいってしまった

窓の外は
雲ひとつない晴れの空で
今日もたくさんの
白いタオルが降っている

展翅された 大きな青い蝶を閉じこめて
透明な立方体は
ぼくの部屋のベットのそばでずっと
ゼリーみたいに浮かんでいる

文学極道

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