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作品 - 20150619_785_8141p

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人間もどき

  ペスト

朝、柔らかな羽毛に口付けを
水槽の底で散り散りになった網膜が水を吸う
肺の海が広がる あなたは本の16ページ
錆びた釘が山から降りてくる
窒素はムカデの尾を裂いた
噴水が溶け出す
陽射しは四当分され村々へ運ばれる
勤勉なオウムはこう言った
人間になりたい
背負った鮫を道路の上に寝かせて
ゆっくりと少女は飲み込まれていった
雪が逃げ去っていく
もう中身のない呼吸は閉じられた
汚い手に包まれた手を踏み潰しながら
牛の黒い模様の上だけを歩く蝿がこう言った
僕の血は人間よりも赤い
釣竿の先に吊るされた
太い骨組みの汽車が夜を吐き出す
黒い色素が沈殿し
流電した鶏のトサカが赤く灯る
醜い男の背中に貼り紙を貼ろう
全てお見通しさ
贅肉を皿の上で
煮沸消毒した眼を丁寧に磨きながら
息を潜めて
草の中
辞書の羽が破れてしまった
もう彼は飛べないだろう
石鹸水の中からペニスをもった花が這い出てくる
こんな姿にしてくれて
墓の中
土が口に詰まった哀れな下着
卵の殻が泡を吹いて
風よりも重い視線を
それでもなお病む湖は
蒸発して吸われるだろう
蝶の鎖骨のあたりだとか
クラゲのレントゲン写真から抽出された雌しべのように
頬の溝の上を沈黙が渡っていく
森林を纏う赤血球の振動
瞼の裏に漂う静電気の糸
培養された鉱物の遺伝子
赤と白の間に働く磁力
気管支の不規則な変形
アルカリ性の北極熊が凍ってしまったので
人工の汽車は未だに緑色の涙を流す

文学極道

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