うたを 水切りするひとに
私は 陸橋を通って 傘を返しに行く
さびしく おぼれた驟雨
私は 平泳ぎで泳いでいる
花柄の傘
こころは折りたたんだまま
水を切って 返す
雨もあがり 急ぎ足にあゆむ
傍らの池の水があふれ
アスファルトに鮒がはねる
みずごころとは
水たまりで生きる 寂しいこころを
手のひらから 水に戻され
あなたは 鮒になって
泳ぐ
詩の零れるあなたに
私は 陸橋を通って 会いに行く
幾万のひとたちに磨り減り
階段にうすい水溜りができる
爪先立ったこころで
水溜りに 転ぶ
最新情報
選出作品
作品 - 20141028_463_7720p
- [佳] 水溜り - 島中 充 (2014-10)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
水溜り
島中 充