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作品 - 20140210_511_7306p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


street#tube

  村田

皿を洗っていてわかるのは、それがとても汚れているのか さほど汚れていないのか
バクテリアの繁殖を、次々と 目に見えないメモガミエナイママそれは誰かの遺書みたい
腕がなくなって初めて 脈をとった とれなかったからだじゅうに血がついてだくだくながれていた玄関で。
塾に行く男の子が通る 同じ柄のコートを着ていて
損なったぶん色彩が 記憶をからめとる あの場所あの匂いに、行くのかもしれない
買い物に行ったら魚が 腸をうばわれてるところだったから帰ってきた

窒息の程度を記された教科書の裏側には、恐怖があるわ あったからそうね、喝采のうらがわには
神経がじょうずにじょうずに捻転されて 翻ったらきみのはなしていることみんなわからなくなるよ
ぼくのはなしているすべてが、
張り巡らされているわきみの平衡かんかくから
ななめ10°この机はかたむいているけれど、この角度をたもっていれば
どこにでもいけるしちっとも似ていないきみは
損なったぶん さしひいて やっぱりすきだから
校庭の外から か細い声だけをあつめた合唱を楽しそうに感じたんけれど内がわからやけにひかる 光を
辿ったり わたしに似ている人を
見つけた抽象絵画の理想しか持たないから風船持たされて
目から外れたアイライン、剥がれかけたペティキュアは欲望を映しださない
化粧をしすぎることなんて怖がらなくていいよ
あなたかわたしか わからないまま殺されてしまうから主語が使われないままの
骨が埋め尽くされるこの国には
陽気にくらそうとする気がないから視力検査のプロポーションがじょうずになって
よく見えなくなる頃にむかう よく見えていた季節に見ていた景色を記憶する
悲しい顔をする義務かのようにおしえられたけれど権利だからこそとてもかなしいかおがきれい

かなしいふりして塗りたくるキャンバス あいしているふりなんて
できないただ 
目はなにかをみたことがない
きみを見てみたかった
かんじないように午後にやっと麻痺してくる「あの、さむくないから傘かしてあげますね。」
細胞はテレビをかんつうしてしかかんじないせまいせまいせまいせかいだし
排卵してシャワー浴びてセックスをする流れがきらいだった 洗いたての排水溝を触られるみたいに つまんない
塩素はきれいになる必要が過去をもたらす 幸福な過去をもたらす 
それは写真ではわからないから、吐ききれないCO2を感じながらセックスした

耳がなくなって 絵画の渦が空にある青と違う色に変色して
わかるんでしょう
わからなくなる しゅんかん
わかるんでしょう
錆ついていて切れなくなったナイフをデリケートに扱うあなた
そうね、指先から透明な血が流れている
生きていく術が、凶器以下で見つかったのね
そういうあなたと バクテリアを交換する。それは毒であるのかわたしを殺すのか
そのどちらでもない
あなたを殺して逃げるためのしゅだんだから わたしは皿を洗い続けている
バクテリアは見えないけれど
権利だからそんなにきれいにならないでいいんだ

海辺の家であるから、汚れていなかった流れ着いたライフカード
って なんかあやしい。笑
残高が増え続けている負債を割り続けていく分母と
今日まで費やされた希望が 201429と記された日記が、流れ着いた
片腕で、あらかた右だったし
あらかた洗い終わってスポンジの汚れがきときとにしてしまう
ジーンズのポケット付近に汚れやすいが着心地がいい
たぶんそれ
高架下を眺めて聴こえる今日最後の悲鳴、それは美しいアナウンス
やけに姿勢がいい人と悪い人が、
同じ方向を向いて倒れこむ寸前。

文学極道

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