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作品 - 20140120_964_7248p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


タクシー

  uki


黄色が点滅している
なにも起こらないでください
わたしには関係を処理する能力が欠けているから
自分の黄色い手首を見る うす青い血管がでている
あたまのリボンが傾いている
蛇口みたいに止血みたいに あたまの一点 閉めてるリボン
金粉まじりのあきのよる
はだかの噴水まで 1キロ
歩くよりも乗るほうを選んだ
地上から ほんのわずかでも浮いていたい
運賃はワンメーター、ろっぴゃくはちじゅうえん
わたし、ろっぴゃくはちじゅうえんで移動してる
切手ははちじゅうえんだから、
ことばはそんざいよりかるいのだ
かるい かるい かるいのだった。
夜中に、はなうたがかってにでてしまう理由のひとつ
でも わたしは ことばよりかるいはず
いのちさえ きっと
鏡を踏み潰すよりもっとたやすく
風とか空気にあっけなく混入するから
しょうたい不明 そのままがしょうたい
でもどうでもいい
声をださずに口をぱくぱくして
運転手に「ああ?」と言われる
口と耳と目、おもしろい関係、でもわたしは処理できない
そんざいを乗せたタクシーは走る
赤を抜いたとき 盗塁するみたいで どきどきした
歩行者は赤だったからよかった
そんざいのなかで一喜一憂する
そんざい=にくたいではないとあなたは言った
むずかしくてわからないとわたしは言った
かるい かるい もっとかるい むいみはきもちいい
走ってください
赤をこわして
午後の光が風船みたいにしぼんでいく
しろくて赤いむいみのシャワーを浴びる
わたしはこれからあなたをなぞりにゆく

文学極道

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