ずっとそのまま そのままに
遠ざかる
坂道のような木陰は
長く みんなはいつも
碧く眠る 空と
交信士たちの瞬きに
ざりがにの鋏は星の燭光を宿すだろうか
宿すだろう
いつか 恋に戻って行く
知合いなき海岸は
十一月の木枯しの中
乱雑な焼芋のような腕に守られて
空を飛べなくて雲を食んでいる
ピー ピー…
「潮騒に金平糖のような爪を落としたんだ」
曇天は躊躇いがちに指し示していた
モザイクのような模型が時空走行して
いま
鈍い音を立てながら
輝く
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選出作品
作品 - 20140106_824_7232p
- [佳] 出現する海 - 熊尾英治 (2014-01)
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出現する海
熊尾英治