晴れた今日、
日没すこし後の星星の点点と見え始めた
蒼く透けた空のこちら側で
体と影の連結が解ける
風光のなか雲棚引き
さやさやさーーーふーーー……、と
ほほをなぜる
風が耳元で回って
『ふごうりゆえにわれしんず』
とささやいた。それから
なにも知らぬ指先の墓石はちからなく
宙を指さす
つめたくかわいた風の通りすぎる
家裏の
小道わきの杉林ひとつ奥の闇を見た空っぽの胸に
さっきのささやきがひびく
ひんやりとした指先の墓石の肌にも
夜気はしんめりとそうが
わたし全体も深深と耳元の渦に暮れた
沈黙する墓石である
失われたあの星の光が今に届いた
空っぽの胸の
なきがらはしんとした懐かしい光と黙礼を交わして
この青い星の夜の土に帰る
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選出作品
作品 - 20131211_479_7186p
- [佳] お墓 - 腰越広茂 (2013-12)
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お墓
腰越広茂