身体の皮膚のほてりから
窓ガラスには結露の芽生え
ゆりかごに乗せられた重力の
素足のまとうおぼつかなさ、冷たさ、
(この部屋には私がくぐれそうなドアはない
私は指先を結露に添わせて
途切れ途切れの放物線を描かせる
指先に気孔の明るみ
熱に包まれた切なさが
蒸散するころ
ほつらほつらと小さな虫の舞い、雪の
音に隠れ呼応する
忘れ去られたものたちの
(鼓動を私はいまだに
(鼓膜へ触れ合わせたことがない
この部屋の外側に
その生きた呼吸が
実り熟しているとは知らず
(世界はここで完成してしまった
遠くから、呼び人の痺れた声に
記憶はすべてを奪われた
ただ雪の底に眠るなにものかへの欲求に
窓ガラスを割り未成の部屋へ
破片に結露の反射はない
私は元素の振動となって夜へ、
夜に、
人のひづめの跡を探して、酸素の
道には雪の重なり
沈みゆくたびに足音の速達便は
私に届き、目を通わせる
(結び目のふくらみを
(眺めながらする空気浴
今に、確かな過去が
地面から溢れ、生き続けて遠い
たゆたう寒さに
なにものかの痕跡の
喘ぎを垣間見る
(枯槁の気配のような匂いに風
私は手のひらを広げる
そこへ落ちてくる雪の
結晶の溶けゆく速さを
私は目に音もなく焼きつける
その温度は私には高すぎて
すべての記憶が押し寄せる
何千年も前から
こうして雪は時間とともに
町を造り上げていたのだろうか
(私から離れた息はしだいに湿り、色をなす、
ふらふらと時間の先端に口づけを
白い夜になにもかも溶け合っている
雪層の途切れた熱の色彩
地面からはじけて、
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選出作品
作品 - 20120403_695_5984p
- [佳] チタニウムホワイト - 久石ソナ (2012-04)
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チタニウムホワイト
久石ソナ