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作品 - 20120214_394_5873p

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冬の日曜日

  しんたに

 凍り始めたコンクリートの上で、スケート選手の真似をして、スニーカーで滑って転ぶのを僕は見ていた。前の仕事は暑いからとふざけた理由をつけて辞めた。モラトリアムの爆発。料理の腕はみるみる上がっていき、包丁さばきはそこら辺の主婦より上手い自信がある。久しぶりに帰った実家の引き戸はガタついていた。黒服の人達に紛れ込み、見上げた煙突の先から煙が出てきて、その後で雪が降ってきた。新しく見つけたスライスチーズをパンの上に乗せる仕事は、昼休憩の時に頭が痛い気がしてくる。祖母は二十四歳になった僕にお小遣いをくれて、僕はそのお金でエッチな店に行った。相手の女の子は僕を見て同級生に似ていると言った。僕もその子が同級生に似ている気がしてたけど、黙って二つサバを読んだ。上司の顔に熱々のチーズを乗せて、また仕事をなくした。帰り道、口笛を吹いてみようとしたが、あんまり音は出なかった。コンビニに寄ると、レジの女の子が可愛くて、ずっと見つめていると、不審がったその子に目ん玉をくり貫かれた。僕の両目はコンビニの床を転がり、潰れた。右目は自動ドアに挟まり、左目はおばさんに踏まれて。おばさんの履いていた靴はなんだったのか。スニーカーでも、ブーツでもなく、今までに見たことのない不思議な靴だった。まあ、もう目は無いから、これから先、靴なんて見ることもないだろうけど。これでなんにも見なくて済む。なんて、そんなことは無いか。部屋に帰るとコーヒーの匂いがした。僕はそれに牛乳を少し入れて、煙草を吸いながら飲んだ。なにか食べたい、と言われたからパエリアを作った。今では、だいぶ上手くなってきたはずだ。

文学極道

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