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作品 - 20111210_326_5752p

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風の折れる音(「末路」最終稿)

  草野大悟

ひまわりは もう
空いろのじてんしゃを
こげない
それが すっかり年老いて
杖をついて走っていることを
知ったから

風をたべていた鳥は
夢をたべはじめるようになってからずっと
お腹をすかせ
風は
その鳥をたべたせいで
空を吹けずに
地を這うようになった

たくさんの男たちと肌をあわせてきた女は
収納ケースのなかから
ほつれた糸をもてあましている
綻びた男を選びだし
雑巾にして
零れたミルクを
一度だけふき
涼しい顔してゴミ箱に
捨てる

それぞれの挽歌が
それぞれの殻をつけたまま
海の中を
ただよっている

とおく
はるかとおく
空のかなたから
ポキン、と
風の折れる
音がする

文学極道

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