雪を踏む
いきものたちのあし音と
音もなく湧く
いずみの色を記憶して
降雨により添う
雨に飽和された言葉たちが
寝返りをうつたびに
雪が降り
いきものたちが、また
雪を踏む、
積もる雪が
髪に宿るように
ひび割れる指先は、いつか
深い皺にかわるのだから、と、
まだ、荒れていないひとの手のひらは
新雪の匂い
雪の下には
降り積もった灰があるから
あたたかい、と
口ずさむ恋人の頬はあたたかく、わたしは
砂に埋もれる多くの土地に
灰が降る日を夢に見る
わたしたちの、緑の田畑は
犬たちが駆ける雪原の下、わたしは
こごえをとかさないように
遠く夏草のさざ波に
手をひたし
古い窓の
ふるえをとじて
、
雪原にたつ
この家のスープ皿にも、雪が降る
夢を見る、
選出作品
作品 - 20111201_053_5731p
- [佳] 最後の、 - Lisaco (2011-12)
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最後の、
Lisaco