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作品 - 20111119_819_5709p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


公開空地

  DNA

園芸部でも
ないわたくしが
やつれたビニルホース
でぶっぱなした冷水を
ひと月おくれて
のみ干し
てゆく
あの向日葵
に今日、白さの
灰が積もる

すべて
の氷花が
いっせいに枯れ
名に乗る
ことさえ、断念した
晩夏の氾濫

沈んだ校庭の
野っぱら
に寝転んでも
踝まで
は浸かる
だろうから
砂利を描いた
額縁は錆びて
側溝からの
顔に寄り付きはしない

視線だけが
(物質だった)
ただひとつの
(物質だった)
明るさとは縁を切り、反転した眼球のなかに住まう 
湖面から水晶へと乱反射する光は淡く、一握りの灰が呼応していた

呼び 呼ばれているプラタナスの入り口で
十階から見おろした公開空地には 一本の蘇鉄がとり残され 
その実を喰らった兄妹たちが いまも 苦しんでいると聞いた

「誰が最後の石を投げた」

水底の
なかで揺れながら
ふたたび
凍りつき
誰も座ることのなかった
椅子を焼く

文学極道

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