*
あけ方 火の柱が 
空を訊ねるにの腕に見えて 
ドアの外では
途が
焼かれているのかと思う 
食器
羽をぬらす鳥 
みずは地下茎となり 
吃音となって
やみへ ひろやかな波形図へと至る 
*
目が、暗たん
という 
非対称は気にしない
焔がはやく 侵入してきて 
とまった舌や
雨の予兆を
他愛なくそして生ぐさく思った 
*
今度うまれ直したら 
マジシャンになって 恥じらい
みたいな
悪い 
布でまどを被うの 
私は ひと、
となり 
よび名を塩ぬきされていく 
真昼のふれる月なのか
*
目を 見かえすと光りが溢れ 
みず雲がはしるように 
時間が煙るから 
疲れがおりてきたよと火遊びを中断する 
指を別のところへ絡めると 
今さらなのねとその目が、移ろい 
教えが嘘だったらしいとシーツの端に 
浅ましい言葉たちを隠した
羊飼いになりたかったけれど 
治めるべき故国も 
暦すらも持たないから 
ふいに誰もが 
死びとみたいだと愕いてしまう 
光りが溢れてくる 
直ぐにそれらが失調することを知っている 
居眠りのため 
そっとぜん身をずらしていくと 
これでもかと、何処かに墜されていきそうだ
	
選出作品
作品 - 20111026_154_5647p
- [優] 亡国 - 黒沢 (2011-10)
 
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