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作品 - 20110919_910_5548p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


これは批判ではありませんという嘘をつくための詩

  01 Ceremony.wma

る、と、り、
と、ら、
をあわせれば、
ぱらぱらと、
貴方の髪に、
まとわりついた、
透明な音、

大きな鳥を
まねて、
砂浜を横切る、
後姿を、
カモメが追う、

大丈夫?
貴方が私を振り返って、
言葉をかける、
頭が、痛いんだ、

かもめは、弱いから、
きっと空を飛んでいるのよ、
この地上では、
かもめの言葉は通用しない、
だってかもめは、
私達よりも、卑しくて、
貧しい言葉の中で、
生きているから、

る、と、り、と、
ら、に、る、を
たして、
やっぱり頭が痛い、
大丈夫?

恋が聖なるものなら、
それを言った、
男はろくでもない、
脳なしだと思うわ、
突然何を言うんだよ、
その男の言葉なんて、
誰でもつけるものよ、
それにきづていないだけ、
誰にもできない、
言葉を彼は吐くことができないの、
だから、みじめ、
まるで、かもめ、と一緒だね、
だから、地上に降りこずに、
空からわかったふりをして、
かもめであることを、
ばら撒いている、
それは一体何のため?
みつがとんで、
頭もとんでいるのよ、
蜜が飛んで?
富んでいるのよ、
みつが?
そうよ、
この世界を堕落させる、
私達の欠如を、
受け入れることのできないものたちが、
作り出した蜜が富んでいるだけ、

秩序と、完成、
そんなものはもうまっぴらごめんよ、
零れ落ちるものを、
ばらばらにこぼして、
何も与えないために、
何も芽吹かないために、
ばらまくだけ、
暴力的だね、
そうそれでいて、星座的、
星の輝きは、ばらばらと、
輝いて、何も残さないけど、
まだ光っている、
独立したまま、他の輝きとは、
関連せずに、

ひかりは、何も見えないものたち、
をてらすだけで、役立たずよ、
ひかりが、ひかりをみえていなんだから、
闘争を開始するための、
優しい笑みは準備できてる?
夜の果てまで闘争するのよ、
まるで、逃げまくってなきわめきながら、
周りの暗闇をみないようにして、
あらゆるものを無視して、
ひたすら逃走するために、

海の比喩は要らない、
きっとそれは、
全部が、僕らの、
我侭な空想の産物でしかないから、
僕らは、
比喩に描かれるような、
優しくて、同時に、残酷で、
我侭で、苦悩の中にある、
ようなりっぱな人間じゃない、

人の比喩はいらない、
都市の比喩もいらない、
涙の中に、
貴方の体があるなら、
なおさら、
僕は、いらない、

鴎の比喩も、
いらない、
混ざっていって、
解き放たれることのない、
僕らの生活には、
飛ぶことも、
落ちることもない、
そして、決して撃たれることもない、

女の比喩もいらない、
男の比喩もいらない、
貴方の、比喩もいらない、
そして、僕の比喩ももういらない、

いとう貴方に、
消えていったね、
そうだね、
いとうお前に、
見事に消えたね、
だって、何も無かったんだから、
いとうことなく
消えてしまうのはあたりまえだろう、
それがいいのよ、
女のカタカナの名前は、
嘘をつくばかりで、何も、もたらさない、
畑も、まるで石だらけよ、
はじめからそうなら、耕さなければ、
何もみのらない、
いや今も実ってないわ、
見てみなさいよ、あの畑を、
相変らずの石だらけ、

もたつ、いた、
ままで、言葉も、も、た、つ、いた
ままのあの人を、
愚鈍だね、そうね、
日常を繰り返していくことでしか、
彼は生きていけないの、
そうやって己を縛ることはまるで、
宗教的だけど、なまぬるさと、
同時に、本当の、ろれつの回らない、
舌をうまく隠しているだけね、

田んぼ中に、
言葉がばら撒かれているわよ、
畑の話?
いえ、今度は田んぼよ、
ああ、あんなに、囲い込んで、
まわりを寄せ付けようとしないばかりか、
でも、目立とうとして、
カカシだけはたくさんたってるよね、
あのカカシは
人を寄せ付けないために、
同時に、人に見てもらいたいがために、
立てているのよ、
じゃ、人が寄ってくるんじゃないの、
それで、あの囲いを通って、
中に入れば、
皆して泣き虫よ、
まるで、かもめだ、
そうね、かもめよ、
でも、地上にいる、
そう、囲われた地上に、

川はいつか干上がってしまう、
それも違うわ、
もともとこの大地は干上がっていたの、
そこに川が出来たのだから、
川のほうが後よ、
でも、川は僕らの生活には必要でしょう、
勿論ね、だけど、
暴れ川にしろ、整備された川にしろ、
そのどちらでもない川は、
必要とされてないわ、
暴れ川なんて、いらないじゃん、
いいえ、あれはあれで、
豊穣をもたらすのよ、
整備され川は、それはそれで、
私達に安らぎをもたらすけど、
どちらでもない、淀んで、
流れもとまりっぱなしの、
川はただ悪臭がたちこめるだけ、
そうだね、そういう川が、
清浄に戻されるといいね、
いいえ、それは違うわよ、
川が川であるために、人間に、
媚を売るようになったら、
川は川のために生きてはいないわ、



たった、ひとつの、
さくらんぼを、バスタブに、
浮かべて、雨を待つ、
日、
忙しさの中で、
部屋を作ることを忘れて、
この、バスタブは、
むき出しの中、
雨を待って、
そこにつかる、
貴方が、首にかけている、
メノウの、首飾り、
が、雨の匂いと混ざって、
火花を散らす、

歴史としての、時間、
そして、私のいる場所、
から、遠い、
トイレの中で、かかとが、
温かい、水につかる、
まるで、流動する、
その、体を、
形式は捉えきれない、
いえ、カモメのような、
痴呆、の中では、
捉えきれない、

詩人は、天才?
いいえ、それどころか、
ただの、抑圧を抱えた、
美学の人、
まるで、滑稽な芸術だね、
ブラウン管にうつる、
僕等よりも、灼熱の、
太陽に打たれて、
青ざめている、

それじゃ、闘争はできないわね、
世界の悲惨さを、描くことが、
闘争じゃないわよ、
この世界の中で、生きている私、
今ここから、この場所から、
この場所でいきる私、もしくは貴方、
私達からしか考えることは出来ないのよ
だから私にしか闘争は出来ないのよ、
貴方は、未来に逃げようとしたね、
貴方も、過去に逃げようとしたじゃない、
どちらにも逃げられないのにね、

こんな長い会話を、
私達にさせないでほしいわね、
でもしちゃう僕らもどうかと思うよ、
しなくてもいいことなのにね、
でも、しちゃうわけだ、
早くこの世界が炎に焼かれればいいのに、
そしたら、最高に楽しく踊り狂えるのに、
ジャズでスイングするどころじゃないわよ、
そうだね、

そういえば、大丈夫?
いや、やっぱり、頭が、
ずっと痛い、

文学極道

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