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作品 - 20110903_284_5504p

  • [佳]  makura - 01 Ceremony.wma  (2011-09)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


makura

  01 Ceremony.wma

まくらからのいんようは
いつだってさばくでおわる

限りなく、青に近い、
罵声の数々が、
砂漠に雨をもたらした、

(貴方の絶え間ない信仰が、
 私達を引き裂いた日に、
 狭き門をこちら側から
 閉じることへの、)

ずだばばばずだばばば
「もし、殴りたい作家がいたら?」
「ジッド、ダンテ、ヘミングウェイに、サリンジャー」
「なんで?」
「あいつらは世界を焦土にしたから」



夏の日盛り庭では、光が飛び跳ねては、無邪気に転げまわっている。子供達が、それに混じっていく。いすに座って、それらを
眺めている。私の隣の椅子は、空席のまま、朝顔が、蔦を伸ばし、花を咲かせている。庭の隅っこで、多くのアジサイ達が、日差しの強さに敗れて、死体のように色あせ始めている。足元に群がる野草、の、中で、生きる、虫達の、静けさ。
夜、空に輝く星の中で、星達は夜におぼれている。窒息しそうなぐらい輝きを放つ。世界中の酸素がこの夜に、吸い上げられて、すべての人々が、酸素ボンベを背負いながら、挨拶をする、冬の日。

電車の中で、歌を歌う、女の子に話しかける男の、背中に、羽が生えている。頭にはわっかがのっていて、輝いている。
それを、見つめる。

ここは、雨の中の、砂漠、
砂の中で、呼吸することの、
大げさな、
しぐさに、
笑う、貴方の、
顔、

そして、
雨季をふんだんに含んだ、
ソファに座って、
ゆっくりと、
ジンジャーエールに、
世界地図を沈めていく時の、
顔も、また笑っている、
泡が、地図を飲み込んで、
そして、この部屋もいつの間にか、
飲み込まれて、
すべての、
家具や、本が、
浮かんで、

手紙を、送ること、
丹念に、折りたたんで、
決して開封されない、
手紙を、
埋めること、
そして、
呼吸させないことで、
その手紙の、
内容が消えうせていくこと、

街を見下ろす、
あらゆる、街頭に、
上って、
さかんに、
叫ぶ、
すべての、
人の頭に、
氷を、落とす、

「この世界を、焦土にした、
 大竹さんは、先日無くなった」
「ええ、おしいひとをなくしました」
「彼が、鳩にエサをやっている姿が
 もうみられないなんて」

砂漠、そして、
砂漠、貴方の瞳から、
溢れる、砂が、

そして、
雨、

天気は、
いや、天気のことは、
秘密だろう、

全部、ぶん殴る、
この、終わりの無い、
罵声と暴力、
の、真っ只中で、

貴方が、天体の、話を、する時、
そして、それが、
記憶に刻まれる時、
星座の多くが、
ずっと昔に名づけられたものだとするなら、
それは、もう忘れ去れるべき、
ものかもしれない、

ずっと、まくらから、
すながながれていて、
おわらない、
おとがやまない、
みみをふさいでも、
きこえてくる、
頭を、腕で支える、
動作の間に、
混じる、雨の、
におい、

指を、
見つめる、
まくらを、
ひっくりかえす、

また、
すながあふれて、
おとがやまない、
みみのなかで、
すながもれていく
おとがやまない、

お前、
に、ふる、
挨拶の数々が、
たった、
一人の、
貴方を、
浄化して、

お前、
この、世界、のなかで、
足を速め、
痛めた、
まま、
歩む、
ことへの渇望、

まなざし、
ここは、積乱雲の、
終わり、

(一つの夜が、明け渡された)

わたしたちは、夜の間近にいる、
この、閉ざされた、空間の中では、
私達は、お互いを、捉えきれない、

名前を、閉じる、
ことで、開く、

叫ぶ、笑う、
罵る、
すべてが、暴力的に、
行われて、
この空間を、
裂く、

私が、お前が、
雷雨でなかったのなら、
この土地は、
溺れていた、

名前を、
埋める、
何度も、
深く、
言葉に出さないために、
言葉にならないために、

僕の、お前の、血は、
この、土地を、
からすために、
流されて、

悲しい言葉は、明るい
このぼんやりとした、
あかるさのなかで、
生きることが許されない、
ことばのための、
からだ、

幽霊が燃えている、
ずっと遠くで、
それが、愉快で、
悲しい、

幽霊が燃えている?
そうだよ、ずっと燃えているんだよ、
たった一匹?一人?で燃え続けているんだよ。
この、人通りの多い街の中央の噴水の前で、
ただただ燃えているんだよ、
俺にだけしか見えないのかもしれないが、
真昼間も、真夜中も、ずっと燃えているんだよ、
みずをかけてやれば?
かけてやったが、燃え続けていたよ、
たったまま燃えているんだよ、
燃えているから、俺は安心するんだ、
真昼間から、人ごみのど真ん中で、
燃え続けている、あいつを、見ると、
安心するんだ、
悲しくって安心するんだよ、

寒気、
眩暈、
この、
作品の、強引な終わらせ方、
う、う、あ、い、

文学極道

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