ここはとても静かで
足先をつたが這う
ふいに
吹く風に
あなたの
くるぶしが露わになり
血管が脈打つ
その
とき、
音
にならない文字が
空間を壊して
耳元に咲く花に
口吻を差し入れた虫たち
風にこぼれていくスカート
せわしない羽音と
振動が重なり合って、
速まっていく
予感、
ひかりを、
反射する水面は
氷壁に覆われていく
ざくざくと
歩いては
爆弾を埋めた
足に
絡まりあうつたのような
足
からだじゅうを
流れていく冷たい
血液
が泡立って
わたしは
地平線よりも低い
眠りにつく
音
などしないのだ
よ、きみ
に弾け飛ばされた眼球が
ぐるりとあたりを見回し
て、
いる(切れた血管と
はだかの真昼
)壊れて、
倍音の夢をみる
夜明け
に
もげた両足を
結わえ
きっと誰も悪くないのだと
死ぬ
ごとにわたしの
水位が下がり
あなたには
もう瞼すらなくて
なにもかもが明るい、
夜を、
待ち望んでいる
ここはとても静かで
足先をつたが這う
あなたの
スカートをまくりあげた、
爆風
を、掴んで
飛んでいく虫たちは
きっと
春の身振りで
氷壁を溶かす
艶やかな髪先を落としていく
選出作品
作品 - 20110723_972_5392p
- [佳] ギロチン - yuko (2011-07)
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ギロチン
yuko