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作品 - 20110716_714_5366p

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足フェチ

  進谷

足を見ていた。女子高生の。電車の中で。パンツは見てない。足を見ていた。顔はいまいち。パンツはどうでもいい。だから、足を見ていた。まず顔がある。ダメなら足を。電車の中で。カモシカ? 逃げる。追う。女の子が逃げる。男の子が追う。僕は見る。女子高生の足を。ネズミの仮面を被った人が逃げる。ネコの仮面を被った人が追う。アウシュビッツ? たくさんの足が転がっている。そこには僕の足も君の足もない。ユダヤ人は書く。なぜ? 僕は見る。女子高生の足を。流れていく。アウシュビッツが、広島が、長崎が、福島が? 9・11? 3・11? 7・16? あの子は今日も朝までクラブかな? ユダヤ人は詩を書く。僕は女子高生を見る。足を。転がっている足を。朝帰りのファーストフード風の女の子を僕は抱く。最近、電車がよく止まる。ハゲ散らかしたおじさんは一人で文句を誰に言うでもなく言う。僕は足を見る。昨日抱いた女の子と、今日抱いた女の子の違いがわからない。僕はファーストフードを食べる。ユダヤ人はそれでも書く。僕は名前を間違える。でも気にしない。流れて、忘れられて、それでも書くユダヤ人。日本人は? 希望も、絶望もなく、それでも女子高生の足を見る僕。君は居た。確かに居た。だからこそ、悲しい? 眠れない夜。君が居た夏を思い出したり、思い出さなかったり。女子高生の足。ユダヤ人の足。僕の足取りは重く、どこにもたどり着けそうになく、センチメンタルになったふりをする。女子高生の足。フランス映画の中の少女の足。OLのパンスト。やぶれた夢を針と糸で縫っている。答えはない。問いならあるかな? 僕の見ている女子高生の足は止まった電車の中で尋ねる。ここはどこ?

文学極道

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