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作品 - 20110425_162_5159p

  • [優]  祖母 - Q  (2011-04)

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祖母

  Q

夕餉、蜂飼いの、裾に下る。読経は、三陸を削り、降灰は、積雪を、頭にとどめる。六道、と、口にする、人の、側から離れる。衆生は一切の、有情の、君から下は、すでになく、君から上は、畜生の、そして、餓鬼の、いぬ間に、人知れず、くぐる、対岸の、魂、塊は、落下し、重たいものが、自然に浮かんだ、肩幅は、蟷螂を、膝から遠くへやる、腕は、岸を目指し、多くの人を見遣る、喪は、口に、口は喪に、白髪は今日に、明日に、黒くなり、パチパチと、骨と拍手が三度なる、貴方は、恐れをなさず、功徳の一切を、路肩に落とし、有為の花を、喉仏に宿す、遠方から人が着き、隣から、着流しが崩れる、骨は、鳳仙花の、ように、ふくらみ、紫陽花は、胸に、飛来する、口篭る、ままの、頬から、一本の、線が引かれ、寒さは一気に引く、目は浄土の、土の香りを嗅ぎ、足は、涅槃の、瞼につく、わたしたちは、見送るが、あなたはもう、みえないばかりか、体からは煙を吐き出し、煙突のない、家で、静かに篭る、白いのはあなたではなく、わたしたちが白くなったのだ、と、仏間に置かれた、果物がつげる、骨は塩をたれ、たれた塩は、舌の上で、酸味を広げようやく寝そべる、昨日、靴を捨てた、私の靴を、裏山で燃やした、煙が、目に入る、私は、「だから」、貴方達の言葉にいつもうんざりする

黒点から頭文字を奪って、貴方に名づける。名付け親になった、鰐の額に、カンザスの土地の名を与える。貴方は抑揚から、起床し、歯磨きを怠らない。瞼からは、伽藍建築が零れ落ち、それを無数の僧が拾う。蟻は、受胎し、マタイの福音からの引用が、雨を、耕す。降雨、と、口癖のように、頭文字は話し、私は、黙秘を貫く。天蓋と孤独を、風土に分け与える。一月の風は、声を酸化させる


 即興する、嘔吐物の、頂点から、石弓を引く、大和の呪いだ、と、神々は雨垂れ、に似た、うな垂れの中で、うるさく頭をたたくものだから、昨日からはなすことをやめた、例えば、ここからまじめに求められるような文章を書いたって、石を積み上げる小僧の首に届かないでしょう、と、貴方は言う、じゃ、例えばをはじめてみようかと思うが、すぐにいやになる。それは、こんなかんじで、「床下にたどりつくと、土の匂いが手足を伝って鼻まで這い上がってくるのがわかる。彼らは、鼻腔の奥にかすかにのこっている外の香りに異常に反応するのだ。その反応を僕はこめかみで処理しようとして、眉間にしわを寄せるが、その様子を見て、友人が尻をつつく。早く行けと、彼はいう。懐中電灯に照らされるいくつもの柱には蜘蛛が陣取って、僕らをやりすごそうとしている。友人の懐中電灯が、この空間の隅っこを照らした、そこには、」いやになる。「水星から落下した、クジラの寝息の上で、セーターを編む、時に、くしゃみした、やまちゃん、やまちゃん、と、思い出しながら声をかける、たけるくん、たけるくんの、メガネはいつも曇っている。曇っているのは、彼がやさしいからだ、彼は落下した、クジラの、骨に挨拶をする、古くなった鼻骨、そして背骨、背びれに尾びれ、と、脈拍は空気に混じって酸化して、その酸っぱさの中で、息を吸い込む。」いやになる。

仏の、唇に、たれた、雨垂れの向こうで、羅漢、達が、踊り、浄土、三部の、お経の、内から、たち現れる、人の、後姿に、前姿に、めをうばわれ、蛙はがはねると、同時に、遠くを見る、雨、と、口にする、甘さが、瞳に、耳に、手は自然と、うなだれ、爪が伸びる、草が分かれる、自然に、道を作る、砂浜は、苦い、近くで挨拶を拾う、言葉に、夜に、昼に、体を、投げ打つ、打ち捨てる、

文学極道

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