鳴きすぎて 喉を裂き 血を吹き よぎる ひよどり 夕焼け
に 送電塔は身を焦がし
森をめぐり 鉄橋をわたり 田畑の中を 一両きりゆく 電車
の 運転手は クレヨン描きの 紙の顔
暮れて流れる車窓の山の端 いまだ まばゆさ 残るあたりに
町から帰る 人妻が 昔の恋人の横顔かさね
薄闇よどむ山懐に 見つけた窓明かりの ふたつみつ ああ
あんなところにもある 人の暮らし
それから おもわず 口をついた さようならは はて だれに
告げたのか 当の人妻にさえ わからない
線路が見える庭の隅 貰われてきた子猫の 涙目に 映る信号
の 色変わり それはそう だれも 知らないこと
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選出作品
作品 - 20110411_846_5139p
- [佳] 日暮れの鉄道 - 鈴屋 (2011-04)
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日暮れの鉄道
鈴屋