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作品 - 20110302_762_5048p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


どぐされ放浪記

  Q

押し迫った、庭園に、私達の庭師は、

 庭園の、暗さは、何度も、目をこする事で、徐々に明るさにみたされていった、
 「何度も、こすると目が真っ赤になるね」
 「とてもじゃないけど、この通りの多さにはうんざりしてしまうね」
 「もう憶えきれないわ。明日も、明後日も、憶え切れないまま、多くの通りを歩くのよ。」
 「目が真っ赤になって、はじめて、庭園は、明るさの中に、」
 「私達が目をこするたびに、彼は、庭園を横切る」
 「この壁の高さに、貴方の額は汗ばんだ」
 「何度もそうやって、犬達が雨季を運んでくる」
 「噴水は、斜面を転がって、扉をたたいた」
 「そう、その音は、私達に手をふらせる」
 「彼に向かってね」
 「帽子をかぶらない日は、季節が言葉を失ってから」
 「口笛は、湿度の子供達を寄せる」
 「窓辺には、花の名前が一切出てこない本を」
 「この庭に生えるすべての草木の、中に、庭師はいつだって埋もれたままだから」
 「彼は知らないよ、花の名前も木の名前も」
 「遠来が聞こえるのは、彼が腰を曲げて石をひろったからかしら」
 「片方の目だけがいつだって赤い。」
 「そのせいで、花は恥らわずに咲ける」
 「庭園の、明るさは、彼の、両目と比例して、」
 「まるででたらめな数式で、子供が答えを勝手に導きだしてしまうようにして」
 「暗くなる」
 「暗くなる前に、また目をこする」
 「赤くなる。何度も」

 午後は、煙で、くだをまいて、

 イスタンブールのロックはそれは過激で、地球をぐるっと一周してもちっともかいわくならないくらい嫌なやつなんだ
 そんなやつのなかに、混じって、時々、行進がはじまるんだってさ、
 征服されたり、されなかったり、そんなことはどうでもよくて、どこかの王朝がぶん殴られるよりも、安く、俺達の、
 酒は安いときてる、
 朝から、飲みまくるのは、くだをまいて、いっその事を、さけをやめるためのなんだが、
 そうやって飲んでいるうちに、どうしようもない奴らが集まって、酒をやめようと飲み続けるもんだから、まったく
 やめることができないときてやがる
 カウンターの向こうで、若いバーテンが、どんどん強い酒をぶんがてきやがる、それを受け止めては臭い息を吐きながら、
 飲みつくす、若い女の給仕は毎度毎度、金の勘定をまちがったふりをして、おこづかいをためて、酒の飲まない男に、
 「酒飲みはしんでしまえ!」と愚痴りながら貢いでやがる
 外では、鶏が雨の中うんざりするほどないてやがる、朝でも、昼でも、夜でもないってのによ、
 もうあいつは狂っちまってるから、
 おかげで、俺達は安心していつまでたっても酒が飲める

 ぷー子ちゃん出勤

 ぷー子ちゃん、ぷー子ちゃん、便秘のままベッドに横ならないで、いっそのこと枕を抱いてランドセルをせおえばいいんだよ、
 ぷー子ちゃんは、醜いブタだから、恥ずかしがりや、照れくさそうに、先生に怒られてパンツを見せて笑顔、
 だからいつだって、スカートは天上に張り付いたまま落ちてこない
 ぷー子ちゃんの机は、お父さんの手袋でいっぱい、教科書なんてひとつもはいってない、
 教科書が無いから、勉強は、床に教えてもらう、
 テストの時、床がこっそり答えを教えてくれるから、ぷー子ちゃんは、いつだって30点!
 ねぇねぇ、ぷー子ちゃん背中に背負ったランドセルの中に、
 明るい日本語がたくさんつまっていて、それらすべてが、
 理科の実験で気体になっちゃったから、言葉がはなせないんでしょ?
 だから、家庭科の時に、言葉を縫い合わせなくちゃいけない
 国語の時間は、いつだって外国語の練習だから、
 大きな口をあけて、手を上げて
 

文学極道

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