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作品 - 20091117_511_3956p

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十一月、波打際

  はかいし

由比ヶ浜は沈んでいくときいつも産声をあげて泣いていた。はじまり、の詩句が似合う、弾けた鞠なんだ、追いかけるように後ずさる。泡。僕らはどこまでも形骸と化した空気を追いかけて、空に跳躍、する。

イカロスは翼があったから空を飛べたけど、鞠には翼はないから、僕たちの心臓の向こうに落ちて、ざぶんと飛沫を上げるんだろうね。穏やかな破水。空を仰ぐ間に押し寄せてきた。波。波。と注がれたかなしみに落ちる。

本当は留まっていたかったんだろう。鳴動。は薄れて、日暮れまで届かないうちに、距離は失われ、気がつけば心臓を通り過ぎていた。重なることはない。影たちに、あなたは、濡らされて。はじ、は恥、まり、は魔力だったんだ、空が遠くから、海も遠くから、見ていたんだろうな、

ざぶり、ざぶり、

跳躍は、深く沈むことを、どこかで望んでいたんだ、はじまりが、どこまでも続いて、はじまりで終わる、波打際が、残酷なやさしさで削っていった。わたし。は泡になって、はじけたまりで、はじのまりょくを、もう一度、見せつけられて、冬の海は、煩いほど胎動する、

文学極道

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