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作品 - 20090827_431_3743p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


Je ne sais pas 知らない

  はなび


濃いいみどり色のゆうがたコケのようなもの
ぶあつい葉っぱのようなもの
不器用なてのひらが つかむにぎるはなす

放たれた錆びた線路に続く壁のようなもの
白いコンクリートのようなもの
不器用なてのひらが つつむほどくゆるす

スーパーボールすくいと朝ごはんをたべる またすくわれたねって言って言って言ってよ 川と土手のさかいめで 足首がぐねりなりそうな位置で また放られるのはすこしかなしい またキミかまたキミかまたキミか ここにはキミしかいないの? そうなのここにはわたししかいないの 髪をつかまれるのが好きなのだから乱暴にしていいよ

鋭利な葉っぱで指を切って鉄の味がして 電話を切ってから切ってから気づくのはいつも まだ話をする前の静かな沈黙はたぶん こころがけしきに溶け込んで溶解されてからそれで 分離した溶液と沈殿した個体(中原中也ふうに言えばまるで珪石かなにかのような非常な個体の粉末のような)それら粒子の集合体なのだけれど わたしが放られることを望むのは放られないことを望んだときにその沈殿の成分が2度と浮遊することもなく固まってしまいそうだからこわいというただそれだけの理由で人生 みたいなものをないがしろにしてしまったということがまだだれにも告白できずにいる ということ

そしておおかたの人間がそういう沈殿を保ったまま
ごはんを食べたり、買い物をしたり、仕事をしたり、している。
そしておおくの人間がしんせつでやさしい。

あなたの生命線がながいかみじかいか
わたしの運命線がながいかみじかいか
さわらないとわからなかったみたいに

文学極道

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