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作品 - 20090814_160_3717p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


夢みればいつも

  草野大悟

夢みればいつも
きみは風


ぼくの右腕をまくらに
くうくう眠っていたきみは
もう、そこに吹くことをやめ
だれも頼れない青空へ
旅立ってしまった


夢みればいつも
きみは光

ねぇ、無責任な風の吹く
あの夏に戻ってみない?
草いきれの深夜
満月に放精するサンゴの
うす桃色の未来に
やあ、と声をかけて
あら、こんなところで
真実が死んでいるわ
なんて
月の光に囁いたりしてみない?


夢みればいつも
きみは虹

落ちてきたんだ
みごとに
ポトン、と
海に
よく知っている連中に言わせると
やっぱ、空に飽きたんダロ
ということになるけれど
どうもそうではなく
地中深く潜行し尽くした後に空に昇って
華やかに、どうよ!!、という生き方に
愛想が尽きただけ
ということらしい


夢みればいつも
きみは夢

海そのままに
腕と腕をしっかりと絡め合いながら
一生に一度だけの交接をするコウイカが
ふたりの命を持ち去ったとしても
満月が笑う夢の中を
ぼくらは
今日も
風たちを探して
彷徨ってゆくんだ

文学極道

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