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作品 - 20090502_258_3494p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


思い出

  ミドリ


藍子の話をしよう


始まりは
   市民プールの
      プールサイドだった

彼女はまだ高校生で
当時流行の 花柄のビキニを着ていた

ユルい風が
  右から左へと流れ
   植え込みのパンジーを
       たなびかせていた

俺たちは/晴れた真夏に陽盛りに
プラスティック製の/ベンチの上で
寝そべっていた

「オネーちゃん!片乳がはみ出してますよ!」

その時
俺たちの周りの空気が
一瞬にして凍りついた

ブーメランタイプの
    モッコリ水着
      俺たちのモノも
        同様に硬かった・・・(*^^*)b

藍子はハミ出たものを
厚手のビキニのパットの中に
右手であっさりと押し込むと
まるでコウモリのような顔で
俺たちを睨みつけた

コウヘイに杉下によっちゃんに 
そして俺を

「見たの?」
「見たよ」

俺たちは上ずった声を合わせて答えた

「何を見たの?」
「色々」
「イロイロだよな」
「おー いろいろだ」
青くなった顔を見合わせ
てんでに答えた

事態を重くみた市民プールサイドは
              午後の1時に
南面のプールを全面封鎖し
そして俺たち4人は  その後
藍子の事情聴取を受けた

「まず」
と藍子が口を開くと
4人は固唾を呑んだ

「名前と住所と それから血液型と星座
所属する団体名を答えなさい」と彼女は言った
隣の杉下の顔を見ると
今にも泣き出しそうに見えた

「そこのゴボウみたいな君!君から・・」

藍子は手帳を開くと
ゴボウと名指しされた
つまり よっちゃんに目配せをくれた
よっちゃんが俯いて黙ったままでいると

「おい そこのゴボウ!ブツは上ってんだよ!」

その藍子の罵声に
俺たちは縮み上り
そして心の中で
”ブツって何やねん”と
密かなツッコミを入れていた

30分くらいして
藍子の友達の
千春がやってきた

「あー!藍子 コイツ等?」

”コイツ等はないよな”と
また俺たちは小さなツッコミを
当然のごとく胸の中で入れ
千春は藍子の隣の席にガンと座ると
メロンフロートを注文した

「スイマセン俺たちも何か注文していいっすか?」

俺たちの中で一番根性のある
コウヘイが切り出すと
他の3人は
肝をつぶした(><*)

バン!と
藍子は思い切り丸めたコブシでテーブルを叩いた
「別にいいじゃん藍子
  ねぇオジサン!カツ丼4つ!」

”あのスイマセン
 何が欲しいか訊いてくれません?”
みたいな/しごく真っ当な要求を
口にできるものは/いなかった・・
俺たちは/激しく俯き
強く/強く/下唇を噛み締めた

杉下なんかは
  噛みすぎて
    血を流していた )))

「ゴボウはもうどうでもいいから
  次の そこの何だ?ナスビ!(><;)」
藍子は杉下を睨んで言った

”おい/また野菜系かよ”みたいな
俺たちはまたソコで激しくツッコミを入れていたが
店の時計が5時に差しかかろうとも
誰一人として口を割るものはいなかった

      団結は/固かった

藍子の隣で千春がアクビをしていて
「そろそろ2次会?」
みたいなことを言っている

あの 
  スイマセンけど
     そのへんのノリ的なところ
          統一してもらえません?

みたいな
真っ当なことを口にできる勇気のあるものは 居なかった

「しのぶと美香とかも呼ぶ?」
みたいなことを千春が口にする

俺たちはその夜
さらに取調べが強化されること知り
恐怖のあまりに
テーブルの下で
両膝をブルブルと震わせていた

文学極道

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