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作品 - 20090427_187_3479p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


左巻き

  がれき

へそ曲がり
なによ
ふたつの光彩が見ていたもの
水位の増した
夜半の灰色にも
洪水があること すこし
降りすぎた雨を
歯ぎしりせずに眺めても
いた ひとつずつ
片目を隠して 糸へ
ストレート・ヘアへよじれていく部屋で
ふたつめの増水が肘をぬらしたと
きみの
独白をぼくは
五月をゆめみた

信じてほしい
濡れたざくろの
うすい膜を剥がして
爪の先にはり付いた映像 ながれても
少しも可笑しくない景色を
ぼくは
何度も引きのばしてみた
ざくろが咲いていた

ひかりのなかの工場は
くらい廃液を密造する
記憶を押しつぶしている
床下から浸水が 麦藁帽子を
水着の跡からカラー・テープにしみこむ
蒸気機関がいちばん緩いの
渦のなかできみ

ハイ・ライトが
あやしい
白の絵の具を花瓶に共謀させて
すこしいたいけど
割った
きみのなかへ膝を捻じって
ぼくはかえってくる
糸ひく排水 ひかりが
逆光かな

朝方はいつも雨だった
またね なぜかぼくは指が淋しい
おなじけしきなの わたしたちが見てるの
浸水がかえってきて
ぼくらは
薄っぺらい渦を着込む
またひとつふえた
ハイ・ライトを黒子のように付けて
ななめに して
洪水のどこに
ラジオの歌を生けるといいのか

左巻き?
あなた

文学極道

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