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作品 - 20090415_042_3466p

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透明の息

  小禽

もう一度地上に出てみると、以前のようには暮らせなくなりました。あの冷たい息が、わたしの故郷を真っ青にし、あの黒い影が、すべての光の後ろから深い穴を覗かせているのです。わたしの立つ地面はそうして穴だらけになりました。まるで今までの世界は全て嘘だと言われているようです。わたしは地上にいることが随分辛いと感じるようになりました。そして小さな穴を見掛ける度に、あの本当の透明を想うようになりました。地上はだんだんと青を濃くして、明けない夜を迎えています。わたしは気付くとあの崖縁に爪先を掛けて立っていました。幾つか静かな呼吸をし、肺の膨らみから、透明の穴に落ちていきました。

文学極道

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