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作品 - 20090319_617_3405p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


朝の風景

  ミドリ


犬はポケットにキャンディーをねじ込んだ

勤め先に向かう途中
彼はいつもここでコーヒーを一本買う

車道を行きかう車もまだまばらで
陽光もまだ淡色の光しか放っていない 朝の6時台
タバコに火をつけると犬は目を細めた
オフィスに入るにはまだ早すぎる

その時 犬の肩をポンポンっと叩くものがあった
彼が振り返ると
色白の猫が立っていて

この間はどうも

そう言ってロングの髪の猫は お辞儀をした
少し距離を保って
犬は記憶を探した
タバコの火が ゆっくりと膨らむ
そんな彼を見かねて
クスリと笑いながら 猫は

ほら この間の合コンで・・

そういえば
左耳のピアスに見覚えがあった

サチコちゃん?
ほら 一人だけお酒が苦手な子がいたでしょ
あたし 憶えてる?

犬はポケットからキャンディーを取り出し
今度は口の中にねじ込んだ

あぁ これから仕事かい?
えぇ 偶然ね
少し早いからさ 折角だしお茶でもどお?
あー 朝マック?(><)
このへんマクドがないから そこのファミレスでどう?
いいわよ

外資系に勤めてるんだっけ?
うん
景気はどうさ
食品関係だから あんまり影響ないかも

犬は買ったばかりの缶コーヒーを
スーツの上着のポケットに
ギュッとねじ込んだ

文学極道

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