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作品 - 20090226_373_3361p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


六月の景色

  がれき



景色が象の背中をして落ちてくる
日の単色
常緑樹の呼吸をまるめ込み
おおかみ少年の天層の下 置き傘の雨は
見えない水車を集めつつふる

数えだすなら 堆積を続ける
庭に映された鷺とその足跡と爪
のもたらす 二年はずれた夏の午後
ごむ質にかかわらず剥離され
永続される雲 それに間隙

いることはつらい
橋のスロープにつらなるのは辛い
雨と背中をこすりながら そして
感傷に盛られた食欲に手を置き
歯から背中 胸から首にかけて耳をすます

少女の鼻のその高さに構築されて
空はまるごと酸素をのむ その記憶も構成されて
食道の粘膜に落ちる
その音が聞き取れず 景色は象の目をして
なわとびの弛緩の中にしゃがみ込む

どこかで谷に集まる母音
そこに水車がじゅうりんして
椿の指や 孔雀さえ
裂けたならば
ただれるものなら

いつか日が顕われ今度はそらに
せり上がる むしろ
光は色を象に託し 背後にずれると
鎮まった傘の下からも 皮膚の
よりふかい雑木のこだまからも癒着した

文学極道

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