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作品 - 20090220_306_3352p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


暁の、flims

  DNA

陥没した緑の層 その淵へと
   菌糸のたぐいの 声、上げ ている
翻って
(朝の驟雨 
 夜光虫の群れの、鉄の赤錆を舐め



放たれた熱、少女は接触ガラスをその 黒い瞳
に植えつけ 畑のヨコで 滲んだ白い煙をハミ、
乱れ舞っている 

(隣接する鈍色の 木簡に 一昨日、螺旋をくだっていった少年の日録が記されていた

「結露区にて月、
   光の 三拍子になるまえに
  帰路を急ぎます」



調律を回復せよ



「暁の、真理値 
   薄らいだ空き箱に
     絶対主体の振幅 とその欠片を
   正確に 写しいれてください」



フロンティアはきみの 背中の後ろ側にいつまでも開けており 辿ってきた
土地の、たとえば野生の猫とマムシの、真昼の決闘が森林公園の側溝で目撃
された翌日から きみの 背中の後ろ側にいつまでも開けており 一歩ずつ
歩をすすめていくというのは最初から獲得されるはずのない誤謬なのだ あ
たらしい挨拶のかたちは 空気孔のあちこちにあいたぼくたちのからだのほ
うから流れ出していく



谷と谷のあいだの瓦礫その 底辺でゆっくりと少年は切断面を探索している 
計測器は微細な菌糸にハミ 侵されてはいるが 一面の銀色に熟れた建築群
を暁の、野良犬たちが端から舐め尽くし 煙のなかに生息する少女の吐き出
した唾が ぼくたちのうすい月 の光に照らしだされビヨオン、ビヨーン落 下。



「地下の     空洞にて
     狂い だした
   真空計測器
       の
    いま  絶 叫
       が
   鳴っている」         

文学極道

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