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作品 - 20090210_108_3330p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


(無題)

  一条



2月には雨の降るように、その少女の、赤いカーネーションは炎に、
詩人たちが、きりもなく例にもちだすこのテーブルの形状、車椅子、
布切れの片隅に記された、無限回の演算、 8番のバスの路線に沿って
、あかりがいっせいに消えるとき、赤/青のセロファン、右上のノン
ブルに、ケツの穴に、さあ指を入れてごらん、この詩に書かれている
物乞いが訪れる時間だ、



 Q.またぞろ詩を書くのは、御免だよ
 A.ないと思うよ、うん、ないな
 Q.君、すぐ赤面するほうですか
 A.畜生!……あいつら、あいつら……、
 Q.私なの、これは?
 A.まったく、なにか知りたいんだ



押しつぶされた、こえは、いつまでも、平行的な文彩が、互いに結び
合う意味を、少女は、追いかける、ことばは、よその家のあかりに、
照らされ、いっせいにつき刺さる、ゆがんだ音、のきれはし、正しい
筆づかいで、そして、ちいさく映る、馬車の中の、フィルムに焼き付
いた、乱脈のくびきに、すみれ色の刺が、クレジットされた日付の先
に進むことのない行き止まりの、光を



 Q.今夜もおあずけかしら
 A.退屈なんだもの
 Q.人でなしになるのが怖くないの
 A.君、嘘じゃないってば
 Q.ここの大家はいないの?
 A.みんなキューバ人さ




わたしは、バイクをかっぱらった、好きなときに運転できるように座
席はむきだしにされ、陽射しのなかに立ちつくし、オレンジ色の皮膚
、好んで語るのもひとつのやり方かもしれないがね、と医者は言った
、空港の建物の向こうに病院が見えた、夜明け間近、ふくれ魚に含ま
れた毒を、青たんに塗って、脳なし親の群れが、なにが欲しいかなん
てわからない、目がひきつって、頭のまわりの霧が、ついに、サル食
いの網をほどき、そしてそいつは立ち上がると、ちっちゃな、ほとん
ど荒唐無稽な怒りを、赤毛の男(にぶつけ、)(少女は、売春で暮ら
してはいないよね?)夕食を共にする間、長い銃を持って、わたしは
、およそこんな具合にしゃべり、働いているのかと訊かれると、いっ
しょに薬屋へ行きましょう、と答えた、ハトの死体が保存され、星は
炸裂して、ねずみ講のように増殖して、骨のぶっちがいが、あきれる
くらい長く伸ばされ、バザールで踊って、わたしは懐中電灯を駆け抜
けた、Z医師は、黒いろのポリ袋に、せっせと詰め込んで、スピード
違反とカルテにカイテ、ヨタ歩くデブを尻目に、わたしは口をきかな
かった、



時計を見る必要もなく、今が0時だとわかった、ぼくは、死体置き場
に行って、死体を見た、少女の死体が、ぼくに、永遠ってことばは、
ケツをなすりつけてうまれたのよ小便するのと同じね、って教えた、
理由はわからない、兵役を終えた脱獄黒ん歩が、自分がつめられたポ
リ袋を持ち上げた、もはや自由じゃなかった、石の塀にもたれ、黒ん
歩は、パンツをおろしたまま、誰かに尻尾を舐めて欲しかった、ぼく
は、新聞紙のきれはし、子供がひとり、もうやるべき仕事なんてなか
ったから、金持ちのいるところへ、あるいは洞窟へ


 これからが冒険だ
 しかしながら、  胃と腸がぼろぼろになるまで吐いて
 人間のすべてを
 まるで愛しているみたいに
  
  旅とEnzymes



   でないと、
     ただのおしゃべりになってしまう

文学極道

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