南西から、
深い雨が、
始まった、
長い、乾期の、
終わり、
ここは、沼地の、
中にできた、
ひとつの、瞳、
―砂で、
瞳を洗うようにして、
清められるもの―
唇を、
噛み切った、
言葉の、
始まりから、
多くの夢を見た、
人たちの、
声に、
口を開くようにして、
耳を開いて、
私たちは繰り返す、
ふるいまじないを、
新しい言葉で、
日曜日がくるたびに、
(一つの、祝祭が、投げ込まれた、
ここからは、多くの野が、
水浸しにされて語られ始める)
不思議と、
明るさが、
増した、
私たちは、
この世に、
落ちた、
千の亡霊を、
一人残らず、
すくうようにして、
唇を、
噛み切る、
この世を、
渡る、
一つの、
端が、
均衡を、失い、
消えかかっているのを、
見つめている、
瞳が、手を、
映し出した、
今日、私の、日本語から、
一切のかなしみがほろびる、
(ここで、ルビを降らせる)
真新しい黒いカーディガンや、
白い、シャツに、
降る、ルビの、数々が、
開かれて、
落ちていく、
そして、
発話が、
始まって、静まった、
息は白く、
かなしみは、もはや、
遠い、
今日、私の日本語から、
ほろびた、悲しみの、一切が、
体に宿る、
千の、
亡霊の、
首が一斉に、とび、
私は、
唇を噛み切るようにして、
言葉を、
かなしみに分け与える、
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選出作品
作品 - 20090115_544_3263p
- [佳] 今日、私の日本語から一切のかなしみがほろびる - 祝祭 (2009-01)
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今日、私の日本語から一切のかなしみがほろびる
祝祭