僕は倒れやすいけれど折れにくい
世間ではそれを図太いともいうらしい
僕は角じゃなく円
線じゃなく点
この肉球を見れば分かるだろう
君はなかなか倒れないけれど折れやすい
世間ではそれを人間というらしい
君は水平じゃなく垂直
曲線じゃなく直線
それもなぜかって知っているよ
君は
たとえその肉体が果てようとも
立っていなければならなかったからだろう
ああそうともさ
それは僕を守るためにでもあったね
だけれどね
そんな君が倒れるような日は
とても修復の利かない
否
確実にラストだと思うのだよ
そのときクッション代わりになれるのは
僕しかいないじゃないか
なぜかってそれは
バランスを取ることが僕の特技だからさ
こう
尻尾をうまく使ってね
サーカスの玉乗りのように
空間をグニャリとひん曲げてやるのさ
食っているか寝ているか
そうでなければ毛繕いしているだけだって
のんきなことを言うのじゃないよ
それもこれもれっきとした僕の務めじゃないか
君を包み込むための
にんげんをにんげんたらしめるための
僕は
そのためにやってきた神様の使いなのだからね
そう
君が倒れるような日は
君が倒れるような日は
こんな夢を見ているのだ
窓辺でひなたぼっこしながらね
だけれどまだ内緒だよ
だってこれきっと愛だもの
救いようもなく転んじゃっているのは
僕かもしれないからね
否
はじめから寝転がっていたけれど
最新情報
選出作品
作品 - 20081204_031_3190p
- [佳] イエネコ - ゆえづ (2008-12)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
イエネコ
ゆえづ