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作品 - 20081201_953_3182p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


国道沿い

  寒月

さぁ

身なりをととのえ
姿勢をただし
並みの牛丼をたのむ

国道を
いばりとともに楽団を乗せたトラックが抜ける
朝は早いだけで晴れているのに
ふひ ぶふぁ ぶひぃぃ ぶふぁぁぁ
びぃぼぼ びぃぼぼぼぉー
シャーァー
ついでに豚丼の大盛りもたのむ
流通は死を通り越しもする
それから

割れた唇をなめ
それぞれに陸封されたリアス式の海岸へ
隣は見えないが似たようなものだと
幾世紀にもわたって
牛鮭定食をたのむ
さらに
十五品が続いた

何を食べ 何を食べなかったか
考えきれなく
満ち
ほうけていると
美しい顔をした若い男の
アルバイトが近づき
お代はいかがいたしましょう
とていねいにきく
最初からも今からも何も無い
とていねいに答える
分かりましたとやさしく微笑んで
どこかへ 電話している

さぁ

ぼくは詩人だし
かれも詩人だし
電話の先も たぶん詩人だし
国道沿いだし
ずっと無いし
ようやく
あぶら汗が出はじめ
楽団は悲しいし
一人っきりであった

文学極道

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