わたしたちがいまだミシシッピ河で石投げしていた頃 きみがすでに埋め始めていた遠さのボールに記述される詩
1.
ねえさん、今日もぼくたちの波止場で一羽の記号が息をひきとったね
幾何学の身振りで生きながらえてきたきみのからだに 年老いた砂がまとわりつき
道行き、それは疾うにぼくたちの岸辺では役目を果たし終え
綴じられた<>のほうから穏やかな<>がまた漏れだしていく
(これもまた生/活なのだ)
ミジンコの眼球にぼくたちの一切の希望が映るはずもなく
ねえさん、死んだ記号の亡骸にそっとあの石を供えてやってくれ
2.
」空転する さかさまの硝子ペンで
縁どられた空には きみのねりあげた碧 がいまにも崩落しようとしている
(危うさ、とは無関係に交 差する二本の白線)
行き止ま/りはどちらですか?
記号の振り返ったさきで小さな性交が終わりを告げ
埋められたボールのほうで哀しみの羽化する音をきいた気がした
3.
中野の線路沿いの喫茶店で 向かい合っていたきみたちは 白いシャツのうえに 白さを溢した
夏の午前の陽光でぼくには何も判別がつかず
路上ではもう一匹の白さが干からびていた
(風はときに残酷な行いをし)
ちいさきものども、きみたちの悔い改めた翌日に記号は死/ぬだろう
ならば、せめて密航せよとねえさん あなたは云うのか
4.
見よう見まねで始められた分散する思考たち
きみからの短い手紙には一本の記号が杙を突き立てられ
「露出せよ」とただ叫んでいる獣の群れ
あまりの静寂のなかぼくは雨のさかさまに降るのをみた
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作品 - 20080922_594_3038p
- [優] 勝手に埋めろ、人生 - DNA (2008-09)
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勝手に埋めろ、人生
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