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作品 - 20080825_135_2983p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


(無題)

  DNA

おそらく手足を伸ばしたその先には届かないほどの視野のなかで見出されることを待
っていただろう深い森の水面 小さな鳥たちは隊列を組み 閉ざされた光のなかでタ
イヨウを目指すことなどとうに忘却していた昨日までの 

  (雲、のように孤立、し)

三日三晩だった わたしたちの霧を正常でない位置から見定める死に体の

  (狂い、のたたき売、り)

はじめる はじめよう 届かない 「いいえ」 
燃えることのない葉書など 届かない 「いいえ」 

桟橋の下の光を喰った魚の腹のなかには一匹のゲンゴロウがいまも呼吸を続けている
 ときみからの手紙には書いてあったね わたしはイモリの生態について研究する少
年の 助手であったからイモリの写真を収めること以外になんら興味はなかった 

  (残酷、な青が到来、し)

明けない夜はあった
橙色の灯は霧を
最後まで
裏切ることはなく
浮かび上がる
三人の
影と水滴 
そして

露になった
背中に
イモリの
写真はゆっくりと
焼きつけられ 
正しいやりかたで
おこなわれた
小さな追悼の

  チョコレイロ ディス ロ
  口のなかに
  転がる
  チョコレイロ ディス ロ
  摩耗しきる
  その前に

たとえばわたしたちは円卓を囲んでひとつひとつの記号が周遊するじかんを計測した
のだった 測ろう 測れない 「いいえ」 あの湖には イモリのやってくる季節が
失われることのなく 

文学極道

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