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作品 - 20080820_061_2977p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


フテクサレテモカオハマエニツイテイルノダ

  はなび

地下鉄が地上から地下へ潜る
風圧が生暖かく内股をなでる
臭い飯だと知らずに食べているということも知らず
知らず知らずのうちに皆帰る家が無い

トランペットからは肺病の匂いがしていたので
取り憑かれた様になって男もまたあちこちの電柱にぶつかりながら
犬の様にして欲しいと泣き叫ぶ女の暗い部分に懐中電灯を照らし
バス通り沿いの青果店の店先で微笑むサクランボの明るさを探していた

日中は晴れて夕方から深夜にかけては雷雨
明日の約束が不意に消えていったので
追いかけるようにして盛り場への急な階段を駆け下りて
空白を埋めるために始めから
目の潰れそうな質の悪いアルコールで注射針を消毒するみたいな素振りで
腕まくりして血管叩いて乾いた大地に足踏み鳴らす瞳孔開かせた民族の祈りに
少しでも近づけるよう心をこめてお願いしながら宝くじ買うのだけれど

ドイツモコイツモフテクサレテイヤガル
もしくはパー子かパー介か
地下鉄の排気口からゾロゾロっと出てきて
スロットマシーンの前で「777」と口ずさむ
ポリティックとメルヘンの共存が
ナイフの突端で滴っていたって
リズミカルな歌のように怒鳴り散らして
ある女 金切り声で「わたしにもやらせてよ!」
ヒステリイ

雨雲がグングンに水分を蓄えて黒く黒くカラスの内蔵のように黒く
イカスミ吐き出すOLのように黒く
ユウキダセ
フテクサレテモヤツラ皆カオハマエニツイテイルノダ

文学極道

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