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作品 - 20080816_947_2964p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


en voyage 旅行中

  はなび

赤い旅行かばん
白いワンピース
青い帽子

水色のシャツ
チョコレート色のスーツ
紫色のネクタイ

飛行機に乗って
ふたりで
黄土色の大地へ
深緑色の熱帯へ
白い海辺の街へ
群青色の森林へ
灰色の曇り空へ

運河でゴンドラに乗って
市場の人ごみで鬼ごっこして
カフェで向かい合って
カメラ構えて気取ってポーズ

迷子になって
口論して
アイスクリーム食べて
夕日を見よう

道に転がるオレンジ
窓辺のベコニア

泡立つ金色の気泡が
ぱちぱち跳ねる

電車とバスを乗り継いで
知らない人にこんにちはを言って
知らない人におみやげもらって

小さな人形
新聞紙にくるまった豆
走り書きの電話番号
くせの強いアルファベ

ポケットに入れたまま
食堂でおとといの新聞を読んでる
ジュークボックスで踊る
女の子のステップ

バネのように子鹿のように
踊るアルファベ
踊る針の音
ぱちぱち跳ねる

赤い旅行かばん
山吹色のワンピース
ピンクの帽子

クリーム色のシャツ
まっ黒スーツ
しましまネクタイ

まっすぐな道の途中
エスキモーの真似して
どちらがよく似ているか
競争しよう

冗談ばかりの陽気な支配人
フロントの女の子
はにかんで目配せ

冷たいシャワーで凍えそうになって
ぶるぶるふるえて
ざらついた毛布にくるまって

ぎしぎしうるさい老人みたいなマットレスに
思いきり乱暴に飛び乗って笑いながら眠ろう

眠りに落ちそうな瞬間
耳元でペンの音が聞こえるのが好き
革の手帳とインクの匂い

誰もいない岩だらけの入り江
少し離れて背中を見てたら
青い空に消えて溶けてしまいそうで
急に怖くなった そんな夢を見た朝

目が覚めてひとりぼっちじゃなくてうれしい
半分ひらいた唇と伸びかけのひげを指でなぞる

文学極道

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